ワタシの読書史【日本SF編1】


 SF作品として意識しないまま読んだ「海からきたチフス」(畑正憲著)。これがワタシの日本SFとっかかりかもしれない。深海の生物による謎の病気を主人公の少年が解明する、という内容。ATPだとかDNAだとか訳もわからないまま読んだ。
 天白図書館の児童書架は、その昔「すいり・エスエフ」というように一緒にされていた。推理小説ひとすじだったワタシが、ふと横に流れるのも時間の問題。たちまち推理そっちのけでSFに漬かることとなる。もともと宇宙や星が好きだったので、要素はあったのだろう。「火星人の侵略もの」などを好んで読んだ。
 やがて『中学生コーナー』にもちょこちょこ入り込み、清水義範の名前を「SF作家」として先に覚えることとなる。「黄金惑星の伝説」など…(だったか?)。クローン人間も出てきたはず。このコーナーは朝日ソノラマ文庫が充実していて、色々なSF作品(超能力戦争物やクトゥルー神話ものなど)に触れる事ができたのだった。
 小6の時、近所のお兄さんに栗本薫の本を山ほど借りた。少しはまった。中1の時、友人に星新一を教わった。結構はまった。中2、本屋で新井素子を見つけた。ものすごくはまった。今はもう本も奥深くしまいこんでしまったが、少ない小遣いを切り詰めながら、彼女の本を一生懸命集めたものだ。図書館の「リクエスト制度」を知らなかったためである。ラジオドラマまで聞くほど好きだった。…今はあれば読む、程度だろうか。ちなみにその当時一番気に入っていた作品は「ディアナ・ディア・ディアス」。
 中1の時、小松左京・眉村卓・筒井康隆などを知り、少しずつ文庫を買ったりしている。小松左京「果てしなき流れの果てに」など、意味もわからず好きで読んでいた。が、高校生になり、図書室で「復活の日」を借り、非常に感動する。そして「パニックSF」系にはまる。
(漫画になってしまうが、中3から読んだ佐々木淳子さんにもとてつもなく影響を受けた。非常にSF的創作力を持った人だ、と思っている。それから清水玲子さんのロボット物も好きだった。)
 大学に入ってからは、著者で選ぶより内容で選ぶようになった。ただし「同じ本を何度も何度も読む」、というのがワタシの癖なので、新しく好きな作家を開拓して、発見することがなかなかできない。他人に借りたり書評で読んだりして、よほど興味を持たないと、お尻が重たくて(どちらの意味でも)動かないのだ。
 よく言われていることだが、最近は「SF」ときっちり枠組みをつけた作品は珍しくなったのでなかろうか。ホラーとSFとファンタジーが微妙に混ざった作品やら、舞台設定はSF(あるいはファンタジー)なのに形式はなぜか推理、といったような作品がここ数年ずっとウケ続けている気がする。
 ただ、やはり外国SFの方が歴史が古いということもあって「日本SF」の紹介は簡単だがここまでになってしまう。外国編はまた次回に。