タウン サイクラー


 ナゴヤは白い街・クルマの街。28年間名古屋から出たことがない私はしかし、典型的なペードラなので、アシは専らママチャリである。
 さて、特に若い男性に多く見られる現象。足は遅いが自転車は人並みの速度でこげる私なので(フトモモとふくらはぎだけならスピードスケート選手クラス)男のコがゆっくり走っていれば追いつけてしまう。で、比較的小さな交差点で信号待ちしているところの横に並ぶと、彼らは必ずといっていいほど「見切り発車」するか、場合によっては信号無視しても先に渡っていってしまうのだ。「(こんな)女なんかと一緒にずっと待ってられるかイ」と暗に言われているようで傷つく。なのにそういう時に限って、私が走っていくと次の大きな信号に引っかかってイライラしてたりする。何となく申し訳なくて、『追いついちゃったよ、ごめんね〜』(何であやまるんだ)という感じでコッソリ、気づかれないように注意しながら斜め45度のあたりにつける。しかし大抵は失敗して、彼はこちらに気づいて、ビクッというかチッというかそういう顔をして、信号が変わるか変わらないかのうちに前以上のスピードで逃げ去る。「なにヨなにヨ」と更に傷つく。しかも彼らは無灯火であったりする。相手側に識別させるためにもライトは点けた方がいいよ、ボク。
 「えっあんなところまで」と人に言われるくらい遠くまで自転車で出かけていく私だが、とどのつまりは我が家近辺の交通網が結構不便、ということに尽きる。名駅(めいえき:くどいようだが名古屋駅はこう呼ばれている。本当)に出るにも最短で40分ほどかかるので、市外に住む人間に「ホントに市内に住んでるの〜?」とバカにされる始末。ただ、歩こうと思えば地下鉄の駅まで歩いて行けないことはないので、大雪や台風の時は何とかなる。大雪だが積もっているだけのときはヨロヨロと自転車で行く。家族の大反対を押し切った、というかこっそり出かけて後でド叱られた。OL時代だが、その日定時に出勤できたのは地下鉄だけで通勤している人だけ。さぞかし忙しかったと思われるだろうが、取引先も出社できていないのでしずかしずか。
 閑話休題。友人が車校で言われたらしいが、自転車によく乗っている人はクルマの勘もそれほど衰えないという。本当か嘘か知らないが、万が一今住んでいる場所より交通の便が悪いところに住むようになった(悪夢だ)場合も考え、このママチャリ生活は当分続けるつもりである。ここで一言。
 「遠くの信号より、近くの安全」お粗末。